第8回アトピー座談会
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| 「秋・冬のアトピー性皮膚炎の予防」 |
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出席者
森田皮フ科クリニック院長 森田 茂
皮フ科森田クリニック院長 寺西好治
皮フ科森田クリニック医師 安藤葉子
森田皮フ科クリニック婦長 横山正子(司会)
皮フ科森田クリニック婦長 日置美幸
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【要約】
1)秋から冬にかけて予防で重要なことは、身の回りの乾燥を防ぐことと皮膚のスキンケア、すなわち皮膚を清潔に保つスキンケアと、保湿するスキンケアを両立させることである。
2)アトピーは簡単に治る病気ではないので、皮膚科専門医の診察を定期的に受けて治療だけでなくその人その人に合った予防法を見つけ出して行く事が重要。
2)予防としての意味で抗アレルギー剤の内服を続ける事も重要。
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(司会)前回は秋から冬にかけてのアトピー性皮膚炎の特徴について座談会を開いていただきましたが、今日はそれをふまえて秋・冬に向けての予防ということに焦点をあてて座談会をお願いしたいと思います。
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(森田)秋・冬のアトピー性皮膚炎の特徴について一言でいえば、乾燥肌と前回の座談会でお話しましたがその予防には自分自身の皮膚の状態のコントロールと周囲の環境のコントロールとが重要だと思います。皮膚のスキンケアで重要な点は、皮膚を清潔に保つスキンケアと乾燥を防ぐスキンケアを同時に行い、両方をうまく両立させることだと言えます。言い換えれば皮膚を洗うことで汚れと脂を落として、乾燥しすぎない様に同時に保湿剤とか外用剤を使用することだと思います。
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(司会)自分自身の皮膚のお手入れで注意すべき点は何でしょうか。
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| (森田)肌の乾燥を防ぐという観点から入浴時に石けんの使いすぎをしないこと、石鹸とかシャンプーはなるべく洗浄力の強いものは避けて、よくすすぐこと、ざらざらしたタオルで強くこすらないこと、入浴時の温度は痒みが強くなるので高温は避けること、1日何回も入浴やシャワーをしすぎないことなどに気をつけるべきだと思います。特に強くこすることは掻破と同じことで皮膚を傷つけ皮疹をひどくします。 |
(寺西)例えば、皮膚の汚れは皮膚の角層の外側の皮脂膜にあるので、強くこする必要はなく「垢すり」みたいなものは誤ったスキンケアといえると思います。それでも乾燥が強くなるようでしたらノブとかドゥーエとかアトピー性皮膚炎用の石けんとか保湿用入浴剤を使ってみるのもいいかもしれません。ただ、過度の入浴やシャワーはいけませんが、石けん等は全然使わずに1日数回入浴したり、シャワーを浴びたりするのはほこり等を落として、アレルギーの原因物質を除去するには役立つとは思います。アメリカで行われている入浴療法のことですが。
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(安藤)入浴後のお手入れについては、さらにこれからの時期には特に皮膚を清潔にした後での乾燥を防ぐためにもスキンケアが重要ですので適切な保湿剤を使用することをお勧めします。
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(司会)先生方は塗り薬を処方する上でこの時期特に何か気をつけられますか?
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| (森田)皮膚表面に脂の膜を造り、体内の水分が蒸発して乾燥するのを防ぐ目的でクリーム剤ではなく軟膏剤を使うことが多くなります。成分としてはステロイド・非ステロイド外用剤を使うこともありますが、単純にワセリンだけを使うこともよくあります。私は乾燥だけで皮疹がない場合にはワセリンのみ、軽い湿疹がある場合には非ステロイド外用剤、ひどい湿疹がある場合にはステロイドを使わざるをえない場合があります。またこれは私の個人的な意見ですが、市販の保湿剤はあまりよくないようですね。乾燥が防げなかったり、何らかの成分で逆にアレルギーを引き起こしたり、市販のものを使う場合には必ず内容の成分を確かめてから使うと良いでしょう。 |
(寺西)皮膚から水分の蒸発を防ぎながら、乾燥した空気を和らげる工夫もできると思います。まず、乾燥を直接引き起こす原因として湿度があると考えられますので、可能ならば加湿器の使用が好ましいと思います。また寒い時期になれば窓を開けることが少なくなりますので室内にホコリ・ダニ・カビが多くなってくることも大きな問題になってくると思われます。従って予防の基本は室内の清掃になるわけですが、旧型の掃除機では排気孔からこれらホコリ・ダニ・カビをまき散らすだけなので、あまり効果がありません。フィルターの目の細かいものを使うか、最近では排気のでない掃除機を使うのもいいでしょう。他にはフィルターの細かいものであれば空気清浄機の使用も効果はあると思います。また最近は、熱交換型の換気扇、空気は流通させるが、部屋の温度はかわらないというものですが、これについてはホコリ・ダニ・カビ等は排気できるのかどうかは良くわかりません。
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| (安藤)また、別の問題として冬になると衣料もタートルネックやハイネックのもの、厚手のジーンズなどで首まわりや袖口がかゆくなってしまうことや、毛布のチクチクした感じや糊のついたシーツや枕カバーでかゆくなってしまうこともあるので、こういう点に注意してもらいたいと思います。冬といってもダニがいなくなるわけではありませんので、あまり換気しない分余計に注意しなければいけませんし、縫いぐるみなんかも丸洗いするとかビニールで覆ってしまうとか気をつけた方がいいと思います。アトピー性皮膚炎の人は肌に直接触れるものは下着にしても寝具にしてもコットンが一番良いと思います。 |
| (森田)アトピー性皮膚炎の患者さんは、人によって状態も重症度も違い、また、季節によっても皮疹の出方が違ってきます。増悪因子も食餌・ホコリ・カビ・ダニとさまざまです。従ってこういう疾患は最近よくいわれる「オーダーメイドの予防法と治療法」が必要な疾患だと思います。そしてこれを実践するためには患者さんと我々専門医との間の密接な関係が必要で、きめ細かい診察をたえずしなければなりません。患者さんにとっては大変でしょうが、なるべく頻回に診察を受けて一生懸命に治療をして下さい。アトピー性皮膚炎は少なくとも1週間や2週間の薬だけで治るような病気ではありませんし、外用・内服・予防といろいろ手を尽くして治療してやっと良くなってくる病気ですので、時々外用剤を塗るだけで治るような病気でもありません。患者さんもここをしっかりと認識して頂きたいと思いますね。ただひとつ私は抗アレルギー剤の内服によるアレルギーのコントロールをアトピー治療の基本にしていますが、ある意味ではこのコントロールは治療としての意味と同時に予防としての意味もあると思います。特にコントロールがうまく行って湿疹がほとんど出来なくなった、痒みもない、という時の抗アレルギー剤の内服は予防的意味が強いと思います。 |
| (司会)このように自分自身の皮膚の状態に気を使い、さらに室内環境を良好に保っておくことが秋・冬のアトピー性皮膚炎の予防では重要なことだと分かりましたので、患者さんのできる範囲のことをしてもらうことが大切なことだと思いました。今日はお話をありがとうございました。次回は食餌制限と環境因子についてお話をお願いします。 |
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