第6回アトピー座談会

「アトピー性皮膚炎に合併しやすい他のアレルギー性疾患について」

出席者

森田皮フ科クリニック院長   森田 茂

皮フ科森田クリニック院長    寺西好治

皮フ科森田クリニック医師    安藤葉子

    森田皮フ科クリニック婦長    横山正子(司会)

皮フ科森田クリニック婦長    日置美幸

【要約】
アトピー性皮膚炎ではアトピー素因があり花粉症ないしアレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息と合併することがあります。しかし、アトピー性皮膚炎ではアレルギーだけではなく、皮膚の防御機構の低下といった要因もあるので、治療と同様にスキンケアも重要です。
(司会)前回はアトピー性皮膚炎に合併しやすい病気についてお話を伺いましたが、今回はアトピー素因に関係すると思いますが、アトピー性皮膚炎と同様にみられる他のアレルギーの病気についてお話を伺いたいと思います。
(森田)アトピー性皮膚炎では皮膚を病気がおこる場とすると、目ではアレルギー性結膜炎、鼻ではアレルギー性鼻炎、気管支では気管支喘息、皮膚や粘膜では蕁麻疹、口の中や喉では口腔粘膜アレルギー症候群などというわけです。
(安藤)代表的なアレルギーの病気といいますと、まず花粉症を思いつきますが、花粉症といってしまえば、アレルギー性結膜炎や鼻炎といったいくつかの症状を含んでいますね。
(森田)一般に花粉症といわれているものにはアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎がありますが、その原因が本当にスギ等の花粉だけかといいますと実はスギやヒノキだけでなく、他の花や雑草、イネ等も原因になり得ますし、ひいてはホコリ、ダニ等も原因になり得ます。この意味では花粉症という病名は非常にあいまいだと思いますね。
(寺西)アトピー性皮膚炎の診断基準にも他のアレルギー性疾患の有無が入っておりますが、本人や家族にこのようなアトピー以外のアレルギーの病気がみられるかどうかも重要な点になっていますから、患者さんや家族の方にはこの事は必ず確認しています。
(安藤)アトピー性皮膚炎の患者さんではこのように、花粉症や気管支喘息を同時にもってみえる方もかなり多くみえると思いますが、以前より喘息が強く起こり易い時期にはアトピー性皮膚炎は比較的軽くなっているということが経験的に言われていましたが(シーソー現象)他のアレルギーの病気とアトピー性皮膚炎の間には何か気付かれたことはありますか。
(寺西)喘息以外には特に結膜炎や花粉症、蕁麻疹などの症状の強弱に関してアトピー性皮膚炎の症状がどうのこうのということはないように思います。むしろ、アトピーと鼻炎、結膜炎が同時に出ている人の方が多いような印象を受けます。
(森田)花粉症の人で花粉症の時期に目のまわりの湿疹がひどくなる人がみえますが、特にアトピー性皮膚炎の人だけというわけではないようです。逆に花粉症の人が全員アトピー性皮膚炎であるわけはなく、単に花粉症だけの人もいますし、眼がかゆくてこすっているうちに眼の周囲にだけ湿疹ができてしまう場合もあります。もちろんアトピー性皮膚炎がもともとある人もいますが・・・
(寺西)実際、花粉とりわけスギの花粉などにかぶれてしまって、目のまわりに湿疹が強くでている人がアトピー性皮膚炎のあるなしにかかわらず時にみえますね。
(司会)次にアレルギー疾患の検査や診断について伺いたいのですが、前回のアトピー座談会でもアトピー性皮膚炎の検査についてお聞きしましたが、他のアレルギーの病気でも同じとらえ方でよいのでしょうか。
(寺西)目・鼻・のど・気管支などそれぞれ専門の先生方がそれぞれ専門の領域で診察をされる事は我々皮膚科医が皮膚を診察する事と基本的に同じ事だと思いますが、血液検査で総IgEや個々のIgEによって抗原を検査することに変わりはありません。おそらく耳鼻科の先生たちも同様な検査をしていると思います。ただし、細かいことをいえば鼻炎や結膜炎を起こす原因物質はやはりスギ、ヒノキ、雑草、ホコリ、ダニ等が多く、耳鼻科・眼科での抗原物質はこれだけに終止してしまい、皮膚科的な内容を含めた食物、動物、カビ、細菌等に対する検査まではしていないことが多いようです。
(日置)皮膚炎の場合にはアレルギー性鼻炎や気管支喘息の場合と異なり、単にアレルギーだけが原因ではないように思いますが。
(森田)そのとおり。アトピー性皮膚炎の原因はもちろん様々な物質に対するアレルギーもありますが、それ以外にもかくこと・ストレス・感染・発汗・紫外線や温熱などのアレルギーに関係しない要因が体質的な皮膚のドライスキンとか皮膚の防御機構の低下と相まって、アトピー性皮膚炎の増悪のきっかけとなるわけですから、治療についてもステロイド外用剤などの塗り薬をぬって抗アレルギー剤をきちんと内服することと、同時に入浴・シャワーによる皮膚の清潔と保湿剤によるスキンケアも同じくらい重要なことだと思います。
 ここで治療について一言よろしいですか。アトピーを含めてアレルギー性疾患全体に言える事ですが、抗アレルギー剤の内服でアレルギー反応を抑える事の重要性は今まで私もよく話していましたが、アトピーに他のアレルギー疾患が重なった場合には抗アレルギー剤の内服が重要になります。実際アレルギー性鼻炎や結膜炎が元々ある人でアトピー性皮膚炎のある人に抗アレルギー剤を処方しますと、アトピーの湿疹が出なくなるばかりか、鼻炎や結膜炎も一緒に良くなってしまうという事が数多くあります。ですから外用薬は忘れてもいいけど抗アレルギー剤の内服だけは忘れるなと言いたいですね。
(司会)本日はアトピー性皮膚炎に合併しやすい他のアレルギー疾患についてわかり易くお話を伺うことができました。次回は秋・冬のアトピー性皮膚炎についてお話を伺います。