第4回アトピー座談会
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| 「夏のアトピー性皮膚炎」 |
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出席者
森田皮フ科クリニック院長 森田 茂
皮フ科森田クリニック院長 寺西好治
皮フ科森田クリニック医師 安藤葉子
森田皮フ科クリニック婦長 横山正子(司会)
皮フ科森田クリニック婦長 日置美幸
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【要約】
夏のアトピー性皮膚炎は汗等で悪くなることが多い。治療としては抗アレルギー剤の内服も外用剤も大事だが、夏のアトピーではスキンケアとして @清潔に、A涼しく、B乾燥させる、が一番大事。ただあまり石鹸でごしごしやらない事。 |
(司会)皆様お集まり頂きありがとうございました。本日はそろそろ夏も近くなりましたので「夏のアトピー性皮膚炎」について御討論をお願いしたいと思います。
夏場はアトピーの増悪に加えて「とびひ」や「みずいぼ」等合併症の問題もありますが、
合併症については来月お話し頂くとして今日はアトピー性皮膚炎の夏の増悪について伺い
たいと思います。ではまず森田先生夏のアトピーの特徴についてお話頂けますか?
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| (森田)そうですね。冬場のカサカサした乾燥性湿疹とは違って汗などで赤く腫れてジクジクした湿疹が多くなるのが特徴だと思います。おおざっぱにいえば「あせも」とそれが原因で引き起こされる二次的湿疹の増悪といえばいいでしょう。 |
| (寺西)子供は外でいっぱい遊んで汗やホコリやドロにまみれて帰ってくるから湿疹もできやすくなるのでしょうね。 |
| (安藤)でも最近は暑いとクーラーのかかった涼しい部屋に閉じこもってしまう子供も多いですから、あながちそうともいいきれないでしょう・・・。 |
| (森田)確かに。でもやはり子供は子供でその地域社会で生活している、すなわち学校や幼稚園や近所の子供と遊ぶ、ということはやはり家から出てどこかへ出かけるのだから、毎日毎日朝から晩まで家にいるということは出来ないと思いますね。 |
| (安藤)なるほど。暑い日は道を歩いているだけでも汗が出ますしましてや公園で遊んだりすると汗やホコリやドロにまみれることになりますね。 |
| (寺西)そうそう。それと夜寝ている時も汗をかきますしね。 |
| (司会)そうしますと夏のアトピー性皮膚炎の特徴は赤く腫れたジクジクした湿疹で汗やホコリ等で増悪するというわけですね。では次に増悪因子には汗やホコリやその他どんなものがあるか寺西先生いかがでしょうか。 |
| (寺西)これはアトピー教室抄録集に森田先生が詳述していらっしゃいますのでここでは特に多い増悪因子についてお話します。まず「汗」ですが、これは汗の中の塩分や尿素・常在細菌等と「汗」をかく原因となっている暑さが、複合的に皮膚を刺激して湿疹をひどくしていると思います。またかゆみによって皮膚を「ひっかくこと」も悪くなる原因ですね。それから「紫外線」ですがこれはアトピーを良くする場合と悪くする場合がありますので、いちがいに増悪因子とはいいきれません。ただひどい日焼けをおこすほどであればもちろん良くないといえます。あと公園や山へ行って植物でかぶれたり虫に刺されたりすることも二次的なアトピーの増悪因子といえますね。 |
| (安藤)なるほど。ただ私が思うに昔の田舎のお子さんはクーラーも無いところで汗まみれ、泥まみれになって遊んでいましたがそれで湿疹が悪くなったという記憶がないのですがね...。最もその頃はアトピー自体も無かったかも知れませんね。今でも都会と田舎ではアトピーの発症率が格段に違うらしいですから。それと「紫外線」で思い出しましたが昔海水浴療法というのがありましたね。アトピーのお子さん達を海水浴に連れて行くと半分ぐらいのお子さんはよくなるけれど、1/4はかわらない。残りの1/4はかえって悪くなるという結果だったと思いますが、その後この海水浴療法はどうなりました。 |
(森田)この海水浴療法というのは治療上のいろいろなエレメントを包括している療法と考えられます。すなわち
@紫外線による殺菌と赤外線による温熱効果
A海水に浸ることによる洗浄と「海水」であることの作用
B海水浴場はオゾンが多くて空気がきれいでホコリが少ない
C子供達同士で遊びに行くことによるストレスからの解放
等でしょうね。もちろん海水浴療法自体は一年中毎日海水浴ばかりやっているわけにもいかないから今ではやられてはいないと思いますが、これが含んでいる各エレメント、すなわち紫外線照射療法とか入浴療法とかですね。これらはそれなりに効果もあることから今でも続けられていると思います。ただ我々皮膚科医としてはアトピーのそのお子さんが海水浴に行って良くなるか悪くなるかは治療方針を決める上でぜひ知りたい所ですよね。 |
| (寺西)アメリカの入浴療法の記事を読んだことがあります。その方法は1日数回30分ぐらいずつ入浴する、あまり石鹸は使わないというものでした。この方法は特に夏は効果があるとのことですので、せめて朝と学校から帰ってからのシャワー・夜のお風呂と1日3回はシャワーと入浴をすすめたいですね。 |
| (安藤)なるほど。毎日行うことを考えると一番現実的な入浴療法といえるでしょうね。あるいはそれも無理なら濡れたタオルで体を拭くだけでもぜひやってほしいですね。 |
| (司会)それでは次はスキンケアと治療法の注意点について簡単にお伺いしたいと思います。安藤先生お願いします。 |
| (安藤)結局 1)清潔に、2)涼しく、3)乾燥させる、ことにつきると思います。先程寺西先生がおっしゃられた1日3回のシャワー・入浴と濡れたタオルで体の汗をふくこと。それと汗に濡れた衣服はこまめに取り替えることですね。治療としては外用薬はクリーム基剤のものを使用すること。またかゆみを止めてやることも重要なので、抗アレルギー剤・かゆみ止めの内服薬を用いることも重要です。 |
| (寺西)石けんや洗剤はなるべく低刺激性の無香料のものを使いあまりゴシゴシやらないことですね。また最近は殺菌だの除菌だのいろいろな化学物質を混ぜたものが出ていますが、アレルギーの点からみればこれは逆効果でしょう。これらの殺菌剤や消毒剤が逆に皮膚を刺激して湿疹をひきおこすことも多いようです。それにもともと皮膚の表面には常在菌がいてそれはそれなりに存在意義があることを認識しないとね。 |
(森田)そうですね。腸内細菌と同じで何故皮膚の表面に常在細菌叢があるのかというと 1)毒性の弱い常在菌が皮膚表面にいてそれが他の毒性の強い菌の侵入を防いでいるという点と、
2)常在菌である表皮ブドウ状球菌がリパーゼという物質を出し、それが皮膚表面のトリグリセライドを分解して遊離脂肪酸に変化させ、これが皮膚表面を酸性に保ち自浄作用を発揮している点。この2つで常在菌の存在意義があるわけです。いいかえれば地球表面の環境や生態系と同じで、皮膚表面にも常在菌や過酸化脂質・遊離脂肪酸などを中心にした生態系がありそれが人間を守っているのですね。これをやたらと石鹸や殺菌剤でゴシゴシやったらどういう影響がでるかすぐにわかると思いますね。 |
| (司会)どうもありがとうございました。来月はこの夏のアトピー性皮膚炎に合併しやすい病気についてお伺いしたいと思います。 |
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