| 今月のトピックス |
| 「薬疹と感染性中毒疹」 |
【要約】
薬疹と感染性中毒疹には様々な発疹があるが、時として同じような発疹が出現し鑑別が必要なこともある。
薬疹・感染性中毒疹とも薬物使用の有無、感染症の有無、発疹の種類や発疹出現時期等と検査所見で診断する。
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| 1)はじめに |
| 薬物に対するアレルギー反応で皮膚に発疹が出るのを「薬疹」、感染症がありその原因である細菌・ウィルスなどに対するアレルギー反応で発疹が出るのを「感染性中毒診」と言います。この2つは原因は全く違い治療法も違いますが、症状は殆ど同じで発症もほぼ同じ時期に起こる事があります。例えば「風邪をひいたら発疹が出た」という場合です。患者さんはほとんど「風邪薬を飲んだら発疹が出たから薬疹だ」と言って来られますが、風邪をひいた時期・薬を飲み始めた時期・発疹が出始めた時期等を詳細に聞いてみると、薬疹よりも感染性中毒診の場合がかなり多いようです。このように薬疹と感染性中毒診は慎重に鑑別しないとその後の治療にも関わってきますのでここで纏めてお話しようと思います。 |
| 2)薬疹とは |
薬物に対するアレルギー反応で発疹が出るものを薬疹と言います。薬疹を起こす可能性のある薬は色々あり、極端に言えば全ての薬が可能性があると言えますが実際に多いのは抗生物質・鎮痛解熱剤(風邪薬)・一部の利尿剤等です。薬疹が起こる時期は内服後1〜2時間から数日以内が多いようです。薬疹の発疹には様々な型がありますが代表的なものを説明しましょう。
a)固定薬疹
これは同じ薬を内服する毎に皮膚粘膜移行部(口唇周囲、外陰部・肛門周囲、乳頭部周囲)や皮膚の同じ場所に浮腫性紅斑・水疱・瘡蓋などが出現する薬疹です。既往歴を詳細に聞いてみると「以前にも同じ薬で同じ場所に発疹が出た。」と言う方がみえます。
b)ライエル型薬疹
内服直後から全身に発熱と紅斑が出現し、2〜3日で全身水疱で覆われ、それが剥脱し広範なやけどの様な状態になる極めて重症の薬疹です。死亡率も20〜30%と極めて高く危険な状態です。
c)蕁麻疹型
急性の蕁麻疹の症状で、場合によっては呼吸困難・苦悶・腹痛などの症状を併発する事があります。
d)湿疹型
一番多い型で体中に湿疹が多発します。
e)光線過敏症型
日光に当たることで日焼けのような発疹や湿疹が出た後に、色素脱失・色素沈着が混在して出る(白斑黒皮症)型です。主にサイアザイド系利尿剤が原因です。 |
| 3)感染性中毒疹とは |
| 例えば風邪を引いた時に蕁麻疹や湿疹のような発疹が出るのを言います。これは薬疹とは違い細菌やウィルスに対するアレルギー反応で起こるものです。出現時期は色々あって感染症とほとんど同時に出る場合と、感染症から少し遅れて出る、時には感染症の治癒後1〜2週間経ってから出る場合もあります。私の経験では少し遅れて出る場合が多いようです。発疹は蕁麻疹と湿疹の混ざったような出方で、薬物内服前に出現していれば感染性中毒疹です。以前「今月のトピックス・蕁麻疹」で蕁麻疹の主な原因の一つに「風邪などをひいた時」と述べましたが、これは感染性中毒疹の蕁麻疹型です。 |
| 4)診断と鑑別診断 |
まず薬疹についてですが、上記のように日常よく見られる発疹が多い事からどんな発疹に対しても薬疹の可能性を常に考えて薬物使用の有無を必ず聞く事が重要です。その上で発疹の出方と使用薬剤から原因薬の可能性を考え、血液検査で薬疹の場合に出やすい肝障害・γ-GTP・好酸球増加などもチェックします。重症で原因薬の特定が必要な場合にはリンパ球幼若化現象やRAST法などで原因薬物を特定します。
次に感染性中毒疹についてですが、感染症があり薬物の使用がない段階で発疹が出ていれば感染性中毒疹です。他に発疹の出方・出現時期等が診断の助けになります。血液検査では薬疹の場合の肝障害やγ-GTP上昇は見られず、好酸球増加と白血球増加などだけがみられます。このような夫々の特徴と血液検査の結果で鑑別診断をすることになります。 |
| 5)治療 |
| 薬疹と感染性中毒疹ではその原因が違うため治療法が大きく違います。薬疹の場合には疑わしい薬物の使用中止と抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服、ステロイド外用剤、場合によってはステロイド内服が必要な時もあります。感染性中毒疹の場合にはまず原因である感染症の治療として抗生剤等が必要で、それに抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤の内服、ステロイド外用剤などを使用します。 |
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