第1話   夏の風物詩、日傘のことなど    H17.8.1

4月から新しい生活が始まりました。大病院勤務から地域医療へと、同時に運動不足解消のため、車をやめて電車通勤としました。久しぶりにのる満員電車、駆け足で下りる階段にも新鮮さを感じたものです。しばらくして暑くなり、疲れがたまるとやや苦痛を感じるようになってきました。そんな毎日、ふと眼をやると、若い女性のパラソルをもつ通勤姿。黒あり、レースあり、中には手袋まで。日焼け対策に万全のきりっとしたいでたち。日本の新しい夏の風物詩のようです。街中のデパートにもUVグッズがびっしり。紫外線の有害性を日頃話題にしている皮膚科医としては歓迎する状況です。

陽差し 
ヤーコブ・ファン・ロイスダール

女性の夏対策に比して、男性のクールビズは地味というか身につかない。自発的なことと受動的なことの違いなのでしょうか?

UV対策、そして美白、と色白美人がもてはやされるこの頃です。ところで大人のシミは8歳から20歳までの紫外線被爆量に応じるということをご存知?いまさら手遅れではありますが、残りの増加分を最小に止めるための努力はやはり必要です。

オーストラリアの紫外線対策は有名です。小学生からサングラスと長袖着用のこと以前新聞で読みました。身近な外国人数人に聞いてみました。フランス人の友人は「太陽大好きだけど最近は気をつけて炎天下の外出を控えるようになった」と。キムチ屋の韓国女性は「日本人と同じくらい気をつけている」とのこと。カンボジアの若い女性は日焼け止めクリームをぬっているがパラソルまでは使わない。ドイツ人の友人も積極的な紫外線対策はしていない、冬の陰鬱な季節のほうが好ましくないらしい。アメリカ人の友人も炎天下の外出を控える程度が普通のようです。紫外線対策というより日射病対策のようです。

  日本では紫外線に敏感なのは主として若い女性です。でも、夏休み、ハワイやグアム、バリへ行って小麦色健康美人になって帰ってくるのも若い女性が多いですね。美白、紫外線対策はファッションの意味合いもかなりあるのでは?

 日傘の絵といえば、モネの草原に立つ女性を代表に19世紀印象派の絵画に良く出てきます。それまでは室内の絵が多いので日傘をさす女性の姿はあまり見られません。しかしゴーギャンの絵のタヒチの女性たちは褐色の肌をもち日傘とは縁がありません。映画では19世紀末から20世紀初めを舞台とするものにでてきます。ジェームズアイボリー監督の「眺めのよい部屋」、「ハワーズエンド」他にもプルーストの「スワンの恋」に日傘が帽子と同様におしゃれな小物としてでてきます。まだ体系的に紫外線と民族性、日傘の使用について調べてはいないのですが、雨傘と違って必需品以外の要素が大きいようです。出自は19世紀後半ヨーロッパのリゾート地でしょうか?昔日傘といえばとても優雅で品のいい人が持つイメージがあり、母や祖母と連想されるものでしたが、今は日常的なもので紫外線対策のための若い女性の必需品になりつつあります。

私も勿論、黒いの、白いの、レースのものなど愛用しています。

パラソルをさす女 
クロード・モネ